FTTHとは?配線方式の違いをプロが徹底解説

FTTHとは?配線方式の違いをプロが徹底解説

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「光回線のFTTHって何?」
「他
配線方式との違いは?」

FTTHとは基地局から各家庭まで光回線だけで繋ぐ配線方式のことです。

FTTHは他のケーブルを一切挟まず、家庭までダイレクトに光回線が届いているので通信速度が早く安定します。

森田 祐輔
森田 祐輔

光回線のはずなのにネットが遅い、繋がりにくい場合は、純粋な光回線ではない可能性があります。

本記事ではFTTHを他の配線方式と比較し、わかりやすく解説します。

「光回線について調べたけどFTTHや他の配線方式がよく分からない」という方にも、図解を用いて解説しますのでぜひ参考にしてください。

FTTHとは

FTTHとは?

FTTHとは局舎から各家庭まで光回線のみで繋ぐ配線方式のことです。

FTTHの説明、局舎と加入者宅を光回線で繋いでいる

FTTHはネットに特化した光回線のみを利用しているため、通信速度が速く安定しています。

FTTH概要FTTH
イメージ光ファイバーケーブルのイメージ
アップロード
(上り)
1G〜10G
ダウンロード
(下り)
1G〜10G
メリット通信速度が速く安定
デメリット工事が必要
コストがかかる

自宅内には光コンセントがありONUやホームゲートウェイを接続することで、高速インターネットが利用できます。

光回線を利用するためには工事が必要で工事費が15,000円〜40,000円と高額ですが、通信会社によっては実質無料になるケースがあります。

FTTHとその他の配線方式の違い

FTTHとその他の配線方式の違い

FTTHは光回線が各家庭まで繋のに対し、他の配線方式はある地点まで光回線で、各家庭までは別のケーブルで配線されます。

配線方式FTTHFTTBFTTCFTTN
イメージ局舎から加入者宅まで光回線で繋いでいる配線方式局舎から建物の共有部まで光回線で、共有部から電話回線で繋いでいる配線方式局舎から建物の側まで光回線で、建物の側から加入者宅まで同軸回線で繋ぐ配線方式局舎からノードアンプまで光回線で、ノードアンプから加入者宅まで同軸回線で繋ぐ配線方式
光回線各家庭までMDF室まで建物近くまでノードまで
光以降なし電話回線
LAN
同軸回線
電話回線
同軸回線
電波良好減衰あり減衰あり減衰あり

物理的には光回線以外の配線距離が長くなるほど、ネット環境が悪くなります。

実際には光回線以外に使用する配線のスペックや環境にもよるため一概には言い切れません。

それぞれの配線方式を詳しくみていきましょう。

  • FTTH
  • FTTB
  • FTTC
  • FTTN

FTTH

FTTHは各家庭まで光回線のみで繋ぐ配線方式です。

光回線は外部の影響を受けにくいため、他の配線方式と比べると通信速度が安定しています。

FTTH方式を採用している主な通信会社はauひかりやフレッツ光、NURO光です。

森田 祐輔
森田 祐輔

一般的なFTTHは一本の光回線を共有するため、通信が混雑する時間帯は繋がりにくいことがあります。

FTTHには専有型と共有型の2種類があり、さらに共有型にはADS方式とPDS方式があります。

専有型SS(Single Star)方式局舎と加入者宅を1対1で接続
共有型ADS(Active Double Star)方式局舎と加入者宅を1対多で接続
PDS(Passive Double Star)方式

専有型とは1本の光回線をユーザーが独占できる接続方式です。

専有型

主に法人向けの契約で利用され速度の安定性に優れ、IPアドレスの発行、セキュリティー強化ができるメリットがあります。

近年はオンラインゲームをするユーザー向けに専有型サービスを提供している通信会社もあります。

光回線を各家庭毎に1本ずつ敷設すると膨大なコストがかかるため、1本の光回線を最大32分岐して利用するのが共有型です。

共有型(PDS方式)

共有型にはADS方式とPDS方式がありますが、主に用いられているのはPDS型です。

ADS型PDS型
多重化装置にて分岐光スプリッターで分岐
給電が必要で設置場所に制限があり採用は少ない一般的に用いられている方式

FTTHは他の配線方式に比べ通信速度は安定していますが、主に1本の光回線を共有するため混雑する時間帯では遅くなることがあります。

企業やオンラインゲームなどでより光回線を安定して使いたいという場合は、FTTHのなかでも専有型を検討してみましょう。

FTTB

FTTBは建物の共有部(MDF室)まで光回線で、各家庭までは別のケーブルで繋ぐ配線方式です。

FTTB

MDF室から各家庭までは一般的にLANケーブル電話回線を使用しています。

FTTBはマンションやオフィスで利用される配線方式です。

光回線対応マンションに注意

光回線対応マンションの記載があっても、実際はFTTBであることが多いです。不動産会社のホームページだけではどこの回線でどの配線方式かまではわかりません。大家さんや管理会社に確認するか、内見の際に光コンセントの有無を確認しましょう。

建物の共有部まで光回線が敷設されていますが、電話回線やLANケーブルは電波減衰を起こすため通信速度は遅い傾向にあります。

フレッツ光やauひかりの多くはマンションでFTTB方式を採用しています。

FTTC

FTTCは建物のそばまで光回線で、各家庭までは同軸回線電話回線で繋ぐ配線方式です。

FTTC

光回線が建物のすぐ近くまで敷設されているため、FTTNと比較し通信速度が安定しやすいのが特徴です。

そのため従来FTTN方式を採用してきた一部のケーブルテレビでは、FTTC方式を採用しています。

森田 祐輔
森田 祐輔

通信速度を安定して伝送できるFTTH方式と、コストが安価なFTTN方式の長所を活かした配線方式です。

将来的にFTTH方式への切り替えも比較的容易であることも特徴です。

NTTでは共有部分に光回線を敷設することを優先しFTTC方式でサービス提供を行なっている地域があります。

FTTN

FTTNはノードアンプまで光回線で、各家庭まで同軸回線で繋ぐ配線方式です。

FTTN

同軸回線は通常テレビの視聴に使用するケーブルで、電波減衰を起こすため通信速度の安定性に欠けます。

ノードアンプが設置されている一つのエリアをノードといい、加入者数が増えれば増えるほど電波減衰が起こりやすくなります。

ノードアンプとは?

ノードアンプとは光回線で伝送された光信号を電気信号に変換する装置です。一つのノードからでた同軸回線が分配器で分配されて各家庭まで繋がります。同軸回線は電波減衰するため増幅器が一定距離に敷設されています。

FTTNはJCOMを始めとするケーブルテレビで採用されている配線方式です。

既存の配線を用いることや維持費がかからないため光回線と比べ低コストであることがメリットです。

マンションでのネット接続方式

マンションでのネット接続方式

マンションで一般的な配線方式はFTTBで、建物内を電話回線で繋ぐVDSLが圧倒的に多いです。

新築のマンションではFTTHも増えていますが、既存のマンションは工事が難しくコストがかかるためまだまだ多くはありません。

マンションでは配線方式によってネット環境が劇的に変わります。

FTTHVDSLLANFTTN
理論値1Gbps100Mbps100Mbps320Mbps
実測値100〜300Mbps20〜90bps60〜90Mbps60〜300Mbps

光回線導入済みや、光回線対応マンションなど不動産会社のホームページだけでは、どこの回線でどの配線方式かまではわかりません。

マンションでのネット接続方式を詳しく解説していきます。

  • FTTH光回線
  • VDSL
  • LAN配線
  • FTTN同軸回線
  • ADSL

FTTH光回線

マンションでのFTTH方式は共有部まで1本の光回線で、共有部から光スプリッターで分岐して各家庭まで配線しているのが一般的です。

FTTH光配線方式

各家庭まで光回線のみで配線しているため他の配線方式に比べて、通信速度は速く安定しています。

FTTH1Gでの
平均実測値
ダウンロード
(下り)
230〜340Mbps
アップロード
(上り)
200〜300Mbps

1本の光回線をマンションの住人で分配しているため、通信速度が混雑する時間帯には遅くなることもあります。

近年建った新築マンションでは、FTTH方式での光回線完備のネットが増えてきています。

マンションの室内には光コンセントが設置されているので、内見の際に確認しましょう。

既存のマンションでは配線工事が難しく、コストがかかるため他の配線方式が多いのが現状です。

VDSL

VDSLとはFTTBの一種で建物の共有部まで光回線、各家庭までを電話回線で繋ぐ配線方式です。

VDSL方式

マンションでの配線方式で一番多いのがVDSLで、電話線の差込口(モジュラージャック)にモデムを繋ぎネットを利用します。

VDSLの理論値は上り下りともに100Mbpsで、通信が混雑する時間帯は実測値は20Mbps程になることもあり、光回線とは程遠い速度です。

VDSL通信速度
平均実測値
ダウンロード20〜90Mbps
アップロード20〜60Mbps

不動産情報では光回線導入や対応と記載されていますが、実際には電話回線を挟んでいるため通信速度は遅く安定性にかけます。

2018年からauひかりではVDSLの配線はそのままでG.fast対応設備を導入し、上り最大644MbpsのタイプGサービスの提供を開始しています。

VDSLを利用するメリットは工事不要か、工事が必要な場合でも30分ほどの作業で済むことが多く工事費用も比較的安価です。

auひかりのタイプGとは?

auひかりのタイプGとは電話回線を用いた新しい技術G.fastにより、通信速度を大幅に改善したマンション向けのサービスです。既にVDSLでサービスを提供しているマンションに対してG.fast対応設備を導入し、完了次第順次利用開始をしています。加入者は契約内容変更を行い、宅内のモデムをG.fast対応モデムに変更することで利用できます。VDSLの救世主とも言えるG.fastですが導入はKDDIの事業計画に基づいて行われており、加入者からの導入申込はできません。詳しくはマンション タイプG:auひかり マンション でご確認ください。

Gタイプのユーザーは格段にネット環境がよくなっているので、Gタイプが利用できるマンションにお住いの方は、契約内容の変更をおすすめします。

LAN配線

LAN配線はFTTBの一種で建物の共有部まで光回線で、棟内をLANケーブルで繋ぐ配線方式です。

LAN配線方式

LAN配線方式は工事不要で利用できるケースが多く、LAN差込口にWi-Fiルーターを取り付ければすぐネット利用ができます。

一般的にLAN配線方式は上り下りともに理論値100Mbpsですが、LANケーブルの規格によっても変動します。

LAN配線通信速度
平均実測値
ダウンロード60〜90Mbps
アップロード10〜70Mbps

また共有部まで配線された光回線をLANケーブルで各家庭に分配しているため、通信が混雑する時間帯はネットが繋がりにくくなります。

LAN配線方式のマンションはネット料金が家賃に上乗せされているか、無料のことが多く通信費を節約できます。

FTTN同軸回線

FTTN同軸回線とはノードアンプまで光回線で、各家庭までを同軸回線で繋ぐ配線方式です。

FTTN同軸回線

同軸回線はテレビのアンテナ端子から同軸ケーブルを繋ぎモデムを接続します。

FTTN方式はJCOMを始めとするケーブルテレビで利用されており最大1Gbpsですがエリアや対応マンションが少ないため320Mが主流です。

FTTN320Mコース
平均実測値
ダウンロード60〜300Mbps
アップロード9Mbps

同軸回線はノイズを拾いやすいため各家庭から出たノイズが蓄積していき、電波減衰が起こるため通信障害が発生しやすいです。

特にマンションでは直列ユニットで繋がれているため、前後の部屋でノイズが発生すると電波減衰を起こしやすくなります。

JCOMネットが繋がらない?適切な対処法を解説 JCOMネットが繋がらない?適切な対処法を解説

また320Mコースの最大上り速度は10Mbpsで他のどの配線方式よりもアップロードは遅いという欠点もあります。

ADSL

ADSLとはNTT局舎から各家庭まですべての配線を電話回線のみを使用したネットサービスです。

ADSL

VDSLも棟内で電話回線を利用していますが共有部までは光回線が敷設されているのに対し、ADSLは局舎から各家庭まで電話回線のみを利用しています。

そもそもの通信速度が遅い上に局舎から離れれば離れるほど遅くなるため、現代のネット社会には対応できず光回線が普及していきました。

ADSL通信速度
ダウンロード50Mbps
アップロード5Mbps

2000年ごろに普及したADSLですが光回線の普及に伴い加入者数が減少し、需要がなくなってきたことから各社提供を終了しています。

サービス終了に伴い解約手続きをしていないと、ネット利用はできないのに月額料金が発生する場合があるので注意してください。

FTTHのメリット・デメリット

FTTHのメリットデメリット

他の配線方式と比較して通信速度が速く安定しているため、FTTH方式でのネット利用がおすすめです。

しかし工事が必要なケースが多く、他の配線方式と比較しても工事に時間がかかります。

  • ネット速度が速く安定する
  • 導入マンションが少なく工事に時間がかかる

ネット速度が速く安定する

FTTHのメリットはネットに特化した光回線のみを利用しているため、通信速度が速く安定していることです。

速度
比較
FTTHVDSLLANFTTN
理論値1Gbps100Mbps100Mbps320Mbps
実測値100〜400Mbps20〜90bps60〜90Mbps60〜300Mbps

他の配線方式では別のケーブルを挟むため、そもそもの速度が遅くなる上に外的要因を受けやすいです。

ネットを快適に利用したい人はFTTH方式での利用をおすすめします。

導入マンションが少なく工事に時間がかかる

FTTHのデメリットは工事が難しく、コストがかかるため導入マンションが少ないことです。

既存のマンションで光回線導入の工事をするにしても時間がかかります。

森田 祐輔
森田 祐輔

またマンションの配管の構造上工事ができないことも少なくありません。

入居者個人で光回線の工事することも可能ですが、賃貸マンションの場合はビス留めや穴あけ工事が必要なためオーナーの許可が必要です。

賃貸マンションの場合はオーナーの許可が取れないこともあるので、工事不要で利用できる別の手段を選択するのが現実的です。

FTTHによくある質問

FTTHによくある質問

FTTHについてよくある質問をまとめました。

個別での質問については、各通信会社へお問い合わせください。

FTTHとは?
FTTHとは基地局から各家庭まで光回線のみで繋ぐ配線方式です。FTTHは光回線がダイレクトに各家庭まで届くため、通信速度が速く安定しています。宅内の光コンセントにONUやホームゲートウェイを繋ぐことで高速インターネットを利用できます。
>> FTTHについて詳しく知りたい
FTTHとその他の配線方式の違いは?
FTTH方式が光回線のみを使用するのに対しその他の配線方式ではある地点まで光回線で、各家庭までを別のケーブルで配線しています。FTTBは建物の共有部まで、FTTCは建物のすぐ側まで、FTTNはノードアンプまでが光回線です。各家庭までは、電話回線や同軸ケーブル、LANケーブルなどを使用しています。別のケーブルを挟むことで通信速度は遅くなるので、快適にネット利用したい人はFTTH方式での利用がおすすめです。
>> FTTHとその他の配線方式についてもっと知りたい
FTTHのメリット・デメリットは?
FTTHのメリットはネットに特化した光回線のみで各家庭まで繋ぐため、通信速度が速く安定していることです。FTTHのデメリットは光回線を敷設するためのコストと工事に時間がかかかることです。既存のマンションでは配管の構造上、工事ができないことも少なくありません。個人で光回線を導入することもできますが、穴あけやビス留めなどが必要でオーナーの許可が必要です。
>> FTTHのメリット・デメリットを詳しく見たい

まとめ

FTTHと他の配線方式についておさらいしましょう。

  • FTTHは光回線のみで局舎から各家庭まで繋ぐ配線方式で通信速度が安定している
  • 他の配線方式はある地点まで光回線で、各家庭までは別のケーブルで繋ぐため速度が遅く安定性に欠ける
  • FTTNは各家庭までを同軸ケーブルで繋ぐ配線方式で320Mが主流
  • マンションで多い配線方式はVDSLで速度の理論値は100Mbpsが一般的
  • 既存のマンションはFTTHの工事をするのに時間がかかり、構造によっては工事ができないことがある
  • 光回線の良さを最大限活かすにはFTTH方式がおすすめ

FTTH以外の配線方式は速度が遅く安定性にも欠けるため、ネット環境を安定して使いたい場合はFTTH方式がおすすめです。

マンションでは構造上FTTHの工事が難しいこともあり、別の配線方式が多いのが現状です。

森田 祐輔
森田 祐輔

ネット環境を少しでも安定させたい場合は、工事不要で利用できる手段の検討をおすすめします。

光回線のはずなのにネットが遅いという場合は、今一度配線方式を確認してみましょう。

これから新たに物件を探すという方は、ぜひ参考にしていただきインターネットの環境にも注目してみてください。

最後までお読みいただきありがとうございました。